新規顧客の開拓やブランド認知の向上に欠かせない展示会。しかし、出展にはブース費用、装飾費、人件費、運搬費など、多額のコストがかかります。これらの費用を少しでも抑えるために、国や地方自治体が提供する補助金や助成金の活用は非常に有効です。
本記事では、2025年版の最新情報を踏まえ、展示会出展に利用できる主要な補助金や助成金の種類、申請手続きの流れ、そして採択率を高めるための具体的なポイントについて、詳しく解説します。
展示会に活用できる主な補助金・助成金
展示会への出展費用を支援する制度は、主に国が主導するものと、地方自治体が独自に提供するものに分けられます。
それぞれの制度は、目的や対象となる事業者が異なるため、自社の事業内容や規模、出展する展示会の種類に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。
小規模事業者持続化補助金
この補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上のための取り組みを支援するものです。
展示会出展は、広報費として補助対象経費に含まれます。従業員数5人以下(サービス業、商業)または20人以下(製造業、その他)の小規模事業者が対象となり、最大で200万円、さらにインボイス特例の要件を満たす場合は、上限が50万円上乗せされ、最大250万円の補助が受けられます。
出展ブース費用だけでなく、チラシ制作費や運搬費なども対象となるため、幅広い費用をカバーできるのが大きなメリットです。
参考:小規模事業者持続化補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
通称「ものづくり補助金」と呼ばれるこの制度は、中小企業や小規模事業者が、革新的な製品やサービス開発、生産プロセスの改善などを行うための設備投資を支援します。
展示会への出展は、グローバル市場開拓枠の海外市場開拓(JAPANブランド)類型でのみ補助対象となります。
海外の展示会に出展し、日本の製品や技術を海外に広めることを目的としているため、国内展示会への出展は原則として対象外です。補助上限額は最大3,000万円と高く、海外展開を目指す企業にとっては特に強力な支援策となります。
中小企業新事業進出補助金
新しい分野への進出や事業再構築を目指す中小企業を対象に、設備投資費用などを支援する補助金です。
補助率は1/2で、従業員数に応じて補助上限額が変わるのが特徴です。
展示会出展費用も広報費として対象経費に含まれる可能性はありますが、この補助金はあくまで「設備投資促進」が主目的であるため、設備購入とセットでなければ補助対象とならない場合がある点に注意が必要です。
参考:中小企業基盤整備機構
地方自治体の補助金・助成金
国が提供する制度に加え、各都道府県や市町村も独自の補助金や助成金制度を設けています。
これらの制度は、地域の産業振興を目的としているため、対象となる事業者や出展する展示会に特定の条件が設けられていることが多くあります。
都道府県・市町村の補助事例
東京都
東京都中小企業振興公社が実施する「展示会出展助成プラス」や「市場開拓助成事業」は、都内の中小企業が国内外の展示会に出展する際の費用を助成します。
特に、都内企業にとっては、手厚い支援を受けられるチャンスです。
大阪府
「大規模展示商談会活用事業」は、大阪府内のものづくり中小企業を対象に、指定された大規模展示会への出展費用を補助します。
出展を検討している展示会が対象リストに含まれているか確認してみましょう。
愛知県
「愛知県海外販路開拓支援事業補助金」は、海外への販路開拓を目指す企業を対象に、国内外の主要な展示会への出展費用を支援します。
対象となる展示会が具体的に指定されている場合があるため、事前に確認が必要です。
地方自治体の補助金を探す3つのポイント
地元の商工会議所や商工会に相談する
地元の商工会議所や商工会は、地域に特化した補助金・助成金の情報に精通しています。
無料で相談に乗ってくれる窓口も多く、自社に最適な制度を紹介してもらえる可能性があります。
都道府県・市区町村の公式ウェブサイトをチェックする
地方自治体のホームページには、独自の支援制度が掲載されています。
「(都道府県名)+展示会+補助金」や「(市区町村名)+販路開拓+助成金」といったキーワードで検索してみましょう。
情報サイト「J-Net21」を活用する
中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」は、中小企業経営者向けの総合情報サイトです。
地域や目的別に補助金や助成金を検索できる機能があり、全国の情報を効率的に収集するのに役立ちます。
申請から受給までの流れと注意点
補助金や助成金は、申請すれば必ず受給できるわけではありません。また、受給までにはいくつかのステップを踏む必要があります。
補助金・助成金の探し方と申請方法
- ・情報収集
- ・応募要項の確認
- ・申請書類の準備
- ・審査
- ・展示会出展と費用支払い
- ・実績報告と受給
展示会に使える補助金や助成金は、まず国や自治体の公的なサイトで情報収集を行い、自社の条件に合った制度の応募要項を詳細に確認した上で、必要な申請書類を準備して提出します。
その後、審査を通過して交付決定通知を受け取った後、いったん自社で展示会費用を全額支払ってから、終了後に実績報告をすることで、最終的に補助金を受給できます。
まとめ
展示会は、企業が新しい顧客を獲得し、販路を拡大する上で非常に有効な手段です。しかし、高額な出展費用が障壁となることも少なくありません。この記事で紹介したような補助金や助成金を賢く活用することで、その経済的な負担を軽減し、より積極的に販路開拓に取り組むことが可能になります。
最新情報を常にチェックし、計画的に準備を進めることが成功の鍵となります。補助金の活用を検討しているなら、まずは自社の事業内容や出展計画に合った制度を探すことから始めましょう。
この記事を書いた人
運営事務局ブースコムプラス
展示会出展やプロモーションイベント開催時のブース設営を行っているブースコムプラスの運営事務局です。
