展示会に出展することは、自社のプロダクトやサービスをアピールするとても重要な機会です。来場者の注目を集めるブースを用意し、しっかりと強みを理解してもらうことで、将来的な売上につながっていきます。
しかし展示会のブースを100%自社で用意できるところは少ないでしょう。ほとんどの場合は業者に依頼して、ブースを施工してもらうことになるはずです。とはいえ施工会社はどのようにして選べばよいのか、施工の具体的な流れはどのようなものなのか、わからない場合もあるでしょう。
そこでこの記事では、展示会ブースの施工の流れを紹介するとともに、施工会社を選ぶ際のポイントなどについて解説します。
ブース施工に関係する会社の種類
展示会用のブース施工に関係する会社の種類としては、以下の3つが挙げられます。
- ・展示会に特化している施工会社
- ・企画・プランニング会社
- ・デザイン会社
それぞれ依頼できる内容が異なるので、以下の解説を読んで違いをしっかりと把握しておきましょう。
展示会に特化している施工会社
もっともわかりやすいのは、展示会に特化した施工会社です。展示会用ブースの施工・装飾などを専門に請け負っています。
この種の施工会社は、倉庫や工場などを自社で持っていることが多く、比較的低コストで施工や装飾を請け負ってくれるのがメリットです。展示会に特化しているだけあって、展示会用ブースの施工経験が豊富なので、こちらにはなかったアイディアもたくさん提示してくれます。
展示会が初めてでも、安心して依頼できるタイプの会社であるといえるでしょう。
デザインなどについてどこまで対応してもらえるかは、会社によって異なります。純粋に施工のみを担当する会社もあれば、デザインやそれ以前のプランニング段階から一貫して請け負ってくれる会社もあります。
企画・プランニング会社
企画・プランニング会社は、展示会に出展するにあたっての企画から、何をどうアピールするべきかの戦略、ブースのデザインや施工まで、トータルで任せられるタイプの会社です。
最初から終わりまでをすべて委託できるので、「初めての展示会出展で何から手を付けたらよいかまったくわからない」と悩んでいる会社にぴったりといえるでしょう。あるいは、頻繁に展示会に出展する会社が、自社のリソースを保つために、企画・プランニング会社に全面委託するケースもあります。
展示会に出展して終わりではなく、中長期的な戦略を考えてくれるのも、この種の会社に依頼するメリットの1つです。
ただし注意点として、企画・プランニング会社はデザインや施工を外注していることが多く、費用が高くなりがちなことが挙げられます。
デザイン会社
展示会に出展するにあたって何をすべきかは決まっており、目的を達成するためデザインにこだわりたい場合には、デザイン会社に依頼するのもおすすめです。デザインの専門家に相談できるので、他社とは一味違った印象深いブースを作成できます。
ただしデザイン会社といっても得意分野は会社ごとに異なっており、必ずしも展示会用のブースを担当してくれるとは限りません。ブースを作るには建築の知識も必要となります。
デザイン会社に依頼する際には、展示会用ブースのデザインを発注できるか、問い合わせの段階で確認しておきましょう。
展示会に出展する際に施工会社を選ぶポイント
展示会に出展する際に施工会社を選ぶポイントとしては、以下の5つが挙げられます。
- ・予算を決めてから選ぶ
- ・何社かで比較する
- ・会社の対応力で選ぶ
- ・デザイン・企画で選ぶ
- ・実績の多い会社を選ぶ
どれも重要な要素なので、以下の解説を読んで根拠とともにしっかり頭にいれておきましょう。
予算を決めてから選ぶ
展示会に力を入れるのは大切なことですが、何事においても予算は必要です。まず予算を決めてから、施工会社を選ぶという段取りを心得ておきましょう。
施工会社に問い合わせるときには、以下のような情報を伝えることになります。
- ・出展する展示会の名前と小間数
- ・コンセプトの有無
- ・企画、デザイン、施工などのどの段階から依頼したいのか
施工会社からすると、上記はすべて予算から逆算する形でしか決められないものです。予算が無尽蔵にあるなら、インパクトのある巨大なブースを好きなように作成できるでしょう。しかし実際には予算に限りがあるため、限られたリソースのなかでどう見せるのかといった意思決定をすることになります。
予算をどれくらい取るべきかわからないときは、漠然としたアイディアを伝えて見積もりを出してもらうことも可能です。また予算だけが決まっている場合には、企画段階から相談に乗ってくれる会社を選ぶとよいでしょう。
何社かで比較する
施工会社によって、デザインのセンスやかかる費用はまったく異なります。そのため複数の会社に見積もりをもらって、じっくり比較検討することが大切です。
コンペの形式で施工会社に応募してもらい、そのなかから選ぶのが妥当でしょう。コンペに参加してもらうのは3社程度にしておくのがおすすめです。それ以上になると選択肢が増えすぎてしまい、判断が難しくなってしまう恐れがあります。
業者によっては、コンペの際にデザインフィー(コンペに参加してもらうにあたって業者に払う費用)が派生することもあるので、事前に確認しておきましょう。
会社の対応力で選ぶ
施工会社によって、こちらの要望に対する対応力もかなり異なります。見積もりをもらって比較する際に、対応力についてもきちんと比較しておくことをおすすめします。
対応力とはたとえば、途中で新たにアイディアが生まれたときや、既存のアイディアに変更があったときなどに、柔軟に取り込んで形にしてくれる力のことです。
展示会用ブースの施工には数ヶ月かかることも珍しくないので、途中段階でアイディアの発生・変更が生じることはよくあります。そのような場合にも、こちらの要望を汲み取る力がある施工会社なら、より理想に近いブースを作ってくれるでしょう。
また対応力には、スピード感も含まれます。展示会の直前になってどうしても新たに盛り込みたい要素が生まれたとき、展示会が始まるまでにブースに反映させられるか否かは、施工会社のスピード感にかかっているからです。
対応力を事前に評価するのは難しいことかもしれませんが、いくつか質問するなどして見極める姿勢が大切となります。
デザイン・企画で選ぶ
デザインや企画も、理想的な施工会社を選ぶポイントとしては重要なところです。
施工会社から見積もりをもらった際、ほとんどの場合はパースと呼ばれる完成予定図を作ってもらうことになります。自社のやりたいことをもっとも強く反映していると思われるパースを提示してくれた施工会社に依頼するのは、シンプルかつ有効な選び方であるといえるでしょう。
また企画段階からお願いしたい場合には、パースとは別に企画書を出してもらうケースもあります。企画力を強みとしている施工会社であれば、こちらの要望を漠然と伝えただけで、的確な企画書を提示してくれます。
パースや企画書は、実際に施工が始まる前に施工会社の能力を判断できる重要な要素です。きちんと提出してもらい、自社のコンセプトに基づいて入念に比較検討していきましょう。
実績の多い会社を選ぶ
実績の多い会社を選ぶのは、単純ですが効果的な方法です。
実績が多いのは、それだけ他社との比較に勝って依頼された回数が多いことの証です。そのような施工会社は、企画段階から優れたものを提示してくることが期待できます。
また多くのノウハウを蓄積しているので、こちらの要望に似た発注を過去に受けている可能性が高く、実際の施工事例にもとづいた提案してくれるでしょう。実際に同様のアイディアで施工してみた業者だけがわかることを、相談の段階で共有してくれるはずです。
とくに初めて展示会に出展する際は、実績の多い会社を選んでおけば安心できます。
価格で選ぶことも重要
展示会に出展する目的は、自社のプロダクトやサービスを来場者に強くアピールすることです。そのためには確実に成果を上げられる展示ブースを作ることが重要となります。
とはいえ予算との格闘は常にあるのが企業の定め。そのため、価格をなるべく抑えつつ、質の高いものを作ってくれる施工会社を選ぶスタンスにならざるを得ません。
同じレベルのものを作るのであれば、できるだけ低価格であるに越したことはありません。業者によって見積額は大きく異なるので、「価格で選ぶ」視点を持っておくことは忘れないでおきましょう。
展示会ブースの施工の流れ
展示会ブースを施工する流れは、おおまかにいうと以下のようになっています。
- 1.施行までのプランニング
- 2.ブースの骨組みを組む
- 3.壁面の取り付け
- 4.物品の配置と細かい装飾
スタートの段階から順番に見ていきましょう。
施工までのプランニング
展示会にブースを出展する前段階として、まず展示会の存在を知る段階があります。自社がブースを出店するのに適した展示会なのか、概要をしっかりチェックします。
「この展示会に出展しよう」と決めたのであれば、どのような目的で、どのような人に、どのようなコンテンツを見せるかを定めなければいけません。この企画段階が間違っていると、その後どれだけ費用をつぎ込んだとしても、狙った通りの結果は生まれないでしょう。
具体的な施工の方向性は、企画内容によって決まります。そのため、企画は長い時間をかけて練り上げるのが常。半年ほどの時間をかけて取り組むこともあります。
ブースの骨組みを組む
実際に施工が始まったら、まずはブースの骨組みを組むところから始まります。展示会用ブースもマンションやビルを建てるのと同じく、骨組みを組んでからそこに肉付けしていく形になります。
ブースの骨組みとなるトラスを仕上げます。このとき上部にあげる部分は、ほかの造作の邪魔にならないよう迅速におこなわなければいけません。
※ブース内容によってはトラスを使用しない場合もあります。
壁面の取り付け
骨組みができ上がったら、そこに壁面を取り付けていきます。展示会用ブースの壁面は、来場者にアピールする予定のプロダクトやサービスのコンセプトを取り込んだものであり、普通の建物と比べて特徴的なものとなっています。
骨組みの段階では、パース(完成予定図)と実際の様子とのあいだに大きな差がありましたが、壁面を取り付けると一気にブースの全景がわかってきます。企画段階から関わっていた担当者からしてみれば、自分たちが議論を重ねていたものがいよいよ現実の姿を見せる、ワクワクする時間です。
物品の配置と細かい装飾
壁面の取り付けが終わったら、ブースに入ってする机や椅子、その他細かい装飾を施していきます。この段階ではもう大きな作業は終わっており、ほぼパースどおりの姿が見えているなかでの最終仕上げとなります。
必要なものすべて配置したら、ブースは完成です。あとは展示会本番の流れを確認しつつ、残された時間でブースの使い方に慣れていきましょう。
まとめ
展示会用ブースの具体的な施工方法や施工会社の種類、どのような施工会社がおすすめなのかといったことについて解説しました。
展示会に出展することは、企業にとって大きなチャンスです。自社商品をしっかりとアピールできれば、新規顧客の開拓につながります。しかしそのためには、予算の範囲内で、コンセプトをしっかりと反映させたブースを作らなければいけません。
自社の要望をしっかりと反映してくれる施工会社を選ぶことは、非常に重要です。
この記事を参考にして、ぜひ自社にぴったりの施工会社と出会い、展示会を成功へと導いてください。
この記事を書いた人
運営事務局ブースコムプラス
展示会出展やプロモーションイベント開催時のブース設営を行っているブースコムプラスの運営事務局です。